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californication

「えっ?土地を開墾してたぁ?

だってアンタ、ウチに物届ける途中だろ?あ?」


「はい、すいません、本当に申し訳ございませんでしたとでごわす

次からは、もう二度とこのような・・・」



通勤電車の窓からいつも見える「いらぶ総合病院」

あそこには精神科があって

直木賞の舞台になった凄腕の先生がいるという・・・


やっぱり、わたくし、精神を病んでしまっているのでごわしょうか・・・

荒れた土地をみると もう、いてもたってもいられなくなり

仕事も途中でほっぽりだして

ホームセンターで開墾道具一式をそろえると

一目散に開墾しだしてしまうなんて・・・


今日投げられた上司の言葉がよみがえる


「キミねぇ・・・いくら北海道出身だからって

いつまでも屯田兵気分が抜け切らないようじゃあ

社会人として どうかと思うよ

そんなに畑耕したいなら とっとと北海道に帰って

好きなだけ開墾すればいいじゃない

ね キミには東京は向かないんじゃないかな」


たしかに わたくしのなかに開拓者精神が芽生えたのは

この大都会 東京にでてきてからでごわした

北海道に帰りたい・・・やっぱりわたくし

心を病んでしまっているのでごわしょうか・・


でもでも、仕事中に仕事をほっぽりだして

子供達と三角ベースをやる大人もいるらしいですし

それに比べれば 荒れた土地を見ると開墾したいなんて

まだ 生産的な面でマシな気もするでごわすし・・・


でも、三角ベースの彼も

「仕事中に 引越し物件情報とか 転職情報を見るのが

大好きなんだ

別に ホントに転職したいわけじゃないんだけどさ」


といってごわした


それはやはり 心理学的に見ると

奥深い部分での 逃避への欲求をあらわしているのでごわしょうか

そして わたくしの開墾癖もまた・・・


誰もが「ここではないどこか」を夢見ながら

明日もここで我慢する時代


声が聞こえるようになったのは四月にはいってからのことでごわした


いつものように電車に乗っての帰宅途中

死んだ魚の目をした大人たちを見ながら

きっとわたくしも今 こんな顔をしてるんでごわしょうな

そんなことを思っていたときのこと


「ヤツらは フロンティアという概念すら抱くことなく

このまま死んでいくんだ」


最初は その声がどこから聞こえているのかわかりませんでごわした


「何も開拓することなく 与えられた土地を守るために生き

与えられた地位を守るだけで 死んでいくんだよ」


その声は 間違いなくわたくしの内側から響いてくるものでごわした


「おまえはもう忘れたのか?

あの朝焼けの海を」


わたくしの中に広がっていくビジュアル・・

これは・・・なに?


朝日を見ながら 開墾仲間達と手をとりあっているわたくし

そう・・・これは


開拓の果ての風景


わたくしたちは 開拓し 切り開き

そして ついに 海に行き着いたのでごわした


振り返ると そこには

じゅうぶんな農地が広がっていて

それらが 全て わたくしのものになるというあの風景

振り返ってみたあの感動の終わった時点から

わたくしの人生はスタートしているのでごわした


開拓の果てから始まった物語は

土地とわずかばかりの金をめぐって

人々がいがみあう 小さな街の物語


ここではないどこかを夢見ながら

もはや 切り開く土地さえない地球に生きて・・・


わたくしは 声にたずねていた


「あの朝日は 今のわたくしにも見えたでごわす

でも・・・この時代に

何を開墾すればよろしくて?」


答えは、なかった



しかし、啓示はすぐに訪れた


わたくしが、なんの気なく歩いていたデパートのなかで

その言葉が メロディとともに降ってきた


♪Space may be the final frontier~


宇宙が、最後のフロンティア・・・


そうでごわしたか・・・まだ、フロンティアはあったとでごわすな


わたくしが辞表を提出したのは

それからまもなくしてのことでごわした


宇宙に行きたい・・・簡単なことではないかもしれないけれど

わたくしには 開拓者の血が流れていて

それがもう あらがいがたくなっているのでごわすから


しかし、宇宙に行こうと決意したわたくしの前に飛び込んできたのは

衝撃的な内容の事実でごわした


「あぁ・・・まぁ、ここだけの話だけど

宇宙なんていうものはないんだよね、ホントはさ

宇宙という概念は ハリウッドが

金儲けのためにつくりだしたもので

いうなれば 心霊と同じ類のものなんだよ

金になるなら 人は

どんな幻だって作りあげるからさ、はは」


「でっ、でも、星は目に見えるでごわしょう?」


「あれは、地球に空いている穴が見えているだけ

ロケットを打ち上げたりするのも 全部

嘘なんだ

でも、そういうものが この世界には必要なんだよ

幻がなくては 生きていけないんだ


幻を見るだけで 生きれる人もいるんだからね


宇宙っていう概念はね

転職する気がないのに見ている転職サイトみたいなものなんだよ


宇宙に行く気は無い

それでも もし宇宙がなくて

この地球に閉じ込められているだけだと知ったら

多くの人は 息苦しさを覚えるだろう」


宇宙が・・・ない

もう・・・わたくしには

開拓する何物も 残されてはないのでごわしたか・・・


男は 黒ぶちめがねをずり上げると

打ちひしがれた様子のわたくしを少し笑って

つづけたのでごわす


「キミも宇宙に行きたかったクチかい?

だったら、ここで 一緒に宇宙を作ろう


宇宙は 作るものなんだ

人が 人のために 宇宙を作り 金にするんだ


素敵なことだろ?宇宙を作れるんだぜ

ヴィジュアル的な全てで

宇宙を作るんだ


なぁ、カリフォルニアの夢を ウチは売っているんだ

今、ちょうど人手が足りないからさ

ウチで働けばいいさ」


Space may be the final frontier
But it's made in a Hollywood basement



結局、わたくしはそのメガネ男の申し出を断り

ひとり 東京の街を歩いていたのでごわした


同じデパートで 同じ曲を聴き

聞き取れなかった歌詞の後半を そのとき初めて聞き取れて

少し 笑えた




でも、わたくしはフロンティアスピリットを思い出すことができたから


全てが出し尽くされたと思い込んだ時点から

開拓すべき土地が見えなくなるということを・・・


ここではないどこか、を人々が望み続けるなら

そこを 開拓するのが

わたくしの使命


屯田兵として生き 屯田兵として死んだ祖先のように

わたくしもまた 新たな地平を開拓するのでごわす


ひとりで歩く東京の夜


空は 地上が明るすぎて

地球の穴さえ見えないけども






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テーマ: 日記 -  ジャンル: 日記
by 切腹ザムライ  at 01:24 |  ハードコア・ストーリーズ |  comment (1)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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by  2008/05/10 13:10   [ 編集 ]
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