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by 切腹ザムライ  at --:-- |  スポンサー広告 |   |   |  page top ↑

希望の言葉

私がまだ「本当の自分」という概念を大切に思っていた頃

私はあの人の子供をみごもっていると信じていた


あの頃の私にとって

本を選ぶということは

救われるワンワードを探す旅だった

それさえあれば 生きていける、ような・・・

一言で、私の世界の見方を根本から変えてしまうような・・

そんな、ワンワード


あの頃の私にとって、言葉はなによりも真実であり

現実は、言葉に沿って、簡単にその姿を変えた


あの頃の私は、言葉がきれいにハマるためなら

自分にも簡単にうそをついた

いつものように、世界の暗部をえぐりながらも

どこかに希望の言葉が隠されているような

そんな本を探しに毎日図書館に来てた

私は・・・救われたかった

自分次第で見方が変わるといわれるこの世界の

新しい見方を、私に授けてくれる・・・そんな一言を

私は血眼になって捜し続けた


苦労の甲斐あって、私はしばしば「救いのワンワード」を見つけた

それを見つけられた瞬間の

「これだ、これを私は探していたんだ!」というあの感じ

私がことばにできなかった感覚を、他の誰かが適切に言葉にしてくれている不思議

そして、ワンワードを見つけた瞬間の あの無敵感

世界なんか意外にちょろいじゃん、と思える

あの背中にイナヅマがはしるフィーリングが、私をなんとか生きさせていた


私の人生は、新しいステップに入った!

そんなような言葉を何度も日記に書き綴りながら

私はなんとか生きていた


「子供を持てば、その瞬間から確実に

自分の人生には意味がうまれますからね」


人生の意味について、ちょうど考えていた頃のこと

私はすぐにこの言葉にうたれ

妊娠した


もしもあのとき、「想像妊娠」という言葉を誰かが口にしていたなら

その言葉にはばまれて

私の人生はきっと、ここまで振り切れはしなかっただろう


結婚して、離婚して、自殺しそこねて

私はいま、救われる夢を見ない

あの頃のような、両極のどちらかに思いっきりふりきれるような

そういう言葉より、その中間をほどよく描く言葉をこそ

私は好んでそしゃくするようになった


そんな私の今の図書館はハラキリロマン

「全ての精神薄弱者は言葉の奴隷だ」と彼は言う


昔の自分に、つまり彼自身に向けて言っているんだろうな

と想像し 私は微笑む

泣きそうな顔で 強がって必死に立っている彼の絵が浮かぶ

ゴミの山のお城に白い旗を立てた ランニングシャツの少年が 彼だ



ワンワードに救われようとしていた頃の私と

精神薄弱者だった頃の彼が

お互いが集めた魔法の言葉たちを交換しあう


ここまで生きさせてくれた言葉たちをかき集めた

宝物のノートをお互いに見せあって

そんなノートを持っていることを、お互いに馬鹿にしながら

私たちは、いい感じになっていく


やがて

お互い、初めて恋人と呼べる人を得て

でも、お互いにあまりに子供で、あまりに不安定で

そして当然のようにうまくいかなくなって


お互い、それぞれに

失恋の絶望を救ってくれる言葉を集めるために歩き出す

いままでとは、少しちがった種類の本棚の前に立つ私


そんな白昼夢が 救われなくても平気になった私のなかに沸き上がる


花火が遠くでなっている



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テーマ: 日記 -  ジャンル: 日記
by 切腹ザムライ  at 23:38 |  ハードコア・ストーリーズ |  comment (1)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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by  2008/04/18 18:36   [ 編集 ]
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